ステロイド追加治療した川崎病患者のステロイド減量に伴う再燃への対応


日本小児科学会雑誌 111巻4号

村田 浩章

 

【要旨】

川崎病に対してはγグロブリン大量静注療法(IVIG)が有用であるが,一部に不応患者が存在する.IVIG不応川崎病患者には追加療法として,ステロイドが使用されることが多い.ステロイドの効力は高いが,その減量により一旦鎮静化した炎症が再燃する事がある.現在,このような事態への対応については全く指針がない.今回, 我々はこのような患者を4例経験し, IVIGの追加,ステロイドの増量あるいは両者の併用により再び炎症を鎮静化させることができた. IVIGの追加投与に当たっては過剰投役与の弊害を避けるため,投与前の血清 IgG 値が2,500mg/dl 以下という基準を設けた. 血清IgG濃度の推移の分析から,ステロイド減量に伴う再燃の時期に一致して血清IgG 濃度も有効と考えられる濃度域よりも低下していることが明らかになった. ステロイド減量に伴う再燃に対してはステロイド増量のみでなく, IVIG 追加投与を併用することにより最大の治療効果が得られることが示唆された。